いろんなはなし

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金椛国春秋のはなし

年末年始にかけて金椛国春秋シリーズを一期に読んだ。

久しぶりに寝る間も惜しんで本を読んだ。

とても面白かったので、一冊ずつ感想をメモしておけばよかったなと思いつつ、シリーズ全体の感想を残しておこうと思う。ネタばれ。

 

 

●遊圭と明々

ボーイミーツガールから始まって、姉弟のような関係、一蓮托生の仲間、身分差の恋……とめっちゃよかった。遊圭はシリーズ通して主人公らしく大きく成長したけど、これは明々がいつでも明るく前向きに支え続けてくれた後宮時代が本当に大きかったなとしみじみ思う。明々はもちろん美人で明るくて強くてそれなりに体力もあり頭も回るけど、この物語の登場人物って肉体的にも精神的にも常軌を逸したメンツが多いので、遊圭を追って砂漠を旅するあたりは本当に命懸け感が強くて、明々の心の強さがよく表れていて良かったな。遊圭はなんだかんだで序盤から明々にどきどきしがちだったので、ちゃんと自覚して正妻にするために色々考えて努力したのは心の中でめっちゃ応援した。最終的にちゃんと結婚して子どもができた時は謎の感動に包まれてしまった。2人で喧嘩しながらも楽しく星家の再興頑張ってくれ。。

 

●遊圭と玄月

ちょっとこの2人ズルすぎない……????と思い続けたシリーズだった。見た目がめちゃくちゃ良い上に頭もめちゃくちゃ良い。お互い顔も頭も育ちも良い環境が一変してまだ10代前半のうちに一族を失い後宮で暮らすようになるものの、少女のようにか細く弱い遊圭はまだ男として家の再興が可能で、玄月は男としての人生は二度と取り戻せない一方で強さや能力は圧倒的という対比、からの嫉妬、羨望、放って置けない気持ち、もうこの2人だけの特別な関係というか、好きとか嫌いとかじゃないんだよな。好きだなんて言いたくないし、嫌いだけど憎みきれず、能力はなんだかんだで認めて、信用して、虐めたいけど、死にそうなら守って、あああ、語彙がない。最後兄弟になるところが本当にずるかった。そうだよな、兄弟って好きとか嫌いとかじゃないけど特別だよな……。これ思春期に読んでたら絶対この2人の関係を悶々と考えて拗らせてたなって思った。

 

●陽元

陽元は遊圭に引けを取らないくらい物語を通して大きく成長したのがよかった。為政者の成長好き。族滅と怜玉に対する複雑な想いから惚れて家族を知っていくのも良かったし、幼少期の不遇さを考えるとこれからもっと人としての器は大きくなりそう。遊圭を弟のように可愛がっているのも好き。名前のように太陽のような真っ直ぐな強い光のような人物で、いろんなことに負けずに国を治めていって欲しい。遊圭といい小月といいうっかり召しあげた女で責められるのはちょっと可哀想だったw

 

●麗華公主

あの……シリーズの中で1人一番好きなキャラを挙げろと言われたら迷いなく麗華を選ぶくらい好きだった。初めのわがまま放題の公主様時代も、なんだかんだ不憫さの方が大きくて、心を開いてくれた後も母に愛されたくて頑張るいじらしさがたまらなかった。なんだかんだで気高く芯の強い賢い女性だったので、遊圭と結婚するルートが来るのではと正直期待した。いや明々がいるけど、麗華は麗華で遊圭とは友人というだけでは言い表せない関係性で、それが国のためであれば麗華は必ず受け入れただろうし、どうせ政略結婚の道具にされるなら相手が遊圭なのは幸運くらいには思いそう。輿入れ後の異国でのヤスミンとのやりとりも格好良くて痺れた。そんな麗華だったからこそ、胡揚の里に残ることを決めて我が子を育てるという結末に納得感もあった。母に愛されなかった子が母になり、我が子を大切に愛して育てられるのって本当に麗華が優しくて強い女性だからだなぁ。

 

玄月と小月

前半は正直玄月が女性に興味あるとは全く思わずに読んでたので小月の名前が出始めた時は普通にびっくりしたけど、最終的にめちゃくちゃ好きな2人だった……。というか、小月が好きすぎる。身体的に強いわけでも、勉強がめちゃくちゃできるわけでもないけど、行動力がありすぎる。頼もしくて明るくて仕事のできるお姉さん(ギャンブル強め)って感じだったけど、月下氷人読んでこりゃあ生まれながらのヤベェ女だと思った。野生のやばい女(いい意味で)。玄月があんな性格のくせして小月のことめちゃくちゃ大好きで大事にしてるの、本当にたまらんかった。2人で子育て頑張ってね。。。イヤイヤ期に対応する玄月めっちゃ見たいな。。。

 

●シーリーン

スペック高すぎチート療母〜〜!!!シーリーンが助けに来てくれさえすれば絶対助かることを読者に感じさせてくれる安心の胡娘。困ったらシーリーンを呼ぼう!!何度読んでいる最中に「シーリーンをここに連れてこい!!!」と思ったか。生きる知恵も戦える肉体も医学知識も鬼強メンタルも持っている、それがシーリーン。一時期遊圭がルーシャンとの仲を疑ってたけど外伝でも何もなかったしシンプルに遊圭の勘違いだったんだろうか。

 

●真人

日本人らしき人が出て来たぞ〜!と思ったら騙されたの衝撃だった。100%の善人ではなかったけど、再登場して合流したあとはどんどん高感度上がったな。周秀芳のこと、ちゃんと真剣に好きだったのも、結婚するために頑張ったの良かった。他の登場人物がスペック高すぎるので器用貧乏みたいな役所だったけど、普通にめっちゃ有能だと思う。パンダ。

 

おっさん連中はあんまり思い入れがないのでこんなところで。

どこに入れるか迷ったけど、玄月がルーシャン追いかけて逆に捕まって焼印入れられて兄弟にされたの、実はめちゃくちゃ笑った。あんなに有能な玄月が……うっかりで謎の親切な仲間を手に入れてその後すげえ助けてもらってるの、実はこれなかったら作中で何回か死んじゃうくらい重要なシーンだけど。あとルーシャンの底知れなさが出てどきどきした。

 

後宮ものかと思いきや、陰謀、政治や戦争とどんどんスケールが大きくなって一冊読み終わる毎にまたすぐ次を開いて……と、睡眠時間も削って夢中で読み終わっていた。小説は10冊くらいのシリーズの方がすぐ終わらなくて楽しめるなと改めて思った。また同じ作者の小説も読んでみたい。中華系、面白いなぁ。